輸出も国内の商売と同じで、売れる商品を扱っているかどうかで、会社の明暗が分かれてしまいます。売れない商品は在庫となって資金の回転を鈍らせ、会社の運営を苦しめてしまいますので、顧客が買いたいと思う商品を扱うことができればベストです。
よくある間違いが、自分自身が商品に惚れてしまって、市場が求めているかどうかが分からなくなってしまうことです。どんなにお金をかけて優れた商品を作っても、市場が求めているものでなければ売れませんし、適正な価格であることも大切です。開発費や材料費から価格を決めてしまうと失敗してしまうこともあります。
あるコンサルタントは、先に売ってから商品を作ったらいいと言っていました。先に商品が売れるということは、市場にニーズがあるということだから、商品を生産する意味があるということのようです。まあ、これは極端な話かもしれませんし、商品によってできるかできないかが違うでしょう。
でも、まわりを見まわしてみて、売れている商品は、売りやすい商品だと言えます。あとは付加価値をどのように付けて、自分の顧客を増やすかに注力すればいいだけです。
その点、和牛は世界でニーズがあることが分かっていますから、扱いやすい商品だと言えます。香港や台湾は、早くから和牛の輸入を行っており、市場はすでに成熟しています。和牛に対する市民の理解度も高く安定した需要が見込まれます。
中国は現在直接輸出できない主な国ですが、経済成長もすさまじく、和牛のニーズは確実にあることが分かっています。カンボジア、ベトナムなどの第三国を迂回してまで持ち込まれるほどです。
一方、フィリピン、タイ、カンボジア、ベトナムなどは、これからの市場です。東南アジアの経済発展は目を見張るものがありますから、数年もすればこれらの国々の和牛の消費も増えてくるでしょう。
年月を経るにつれて、世界で求められるメイドインジャパンは変化してきましたが、和牛はまだしばらく安泰のようです。